「昔、地上げ屋、今、ファンド」―――かつて「地上げ屋」という商売で日本列島が揺さぶられた時代があった。「地上げ屋」も、その「土地転がし」と呼ばれる手法も死語になったと思ったら、続いて、ほとんど同じビジネス・モデルの商売、「ファンド」と、その「企業転がし」の手法によって、日本企業は揺さぶられた。
それらが日本社会に一定の貢献を果たしたことは認めるが、諸手を挙げて賛同することができない。なかでも「上手くやれば、簡単に儲けることができる。コツコツやるなんて馬鹿のやることだ。」といったような風潮を次世代を担う若者たちの間に生み、結果として日本社会のモラル低下を招くことにつながったと思うからである。
やはり基本に立ち戻るしかないと思うようになっている。国土が狭く、天然資源に恵まれていないことは今も昔も変わりはない。食糧自給率も今や先進国諸国の中で最低である。いずれにしても日本は人的資源に頼るしかないと思う。人的資源に裏打ちされた「技術・ノウハウ」に少なくともしばらくは頼るしかないと思う。
たしかに、もはや日本社会は人的資源で「良質、低廉かつ豊富」という三拍子揃っている状況にはない。しかし、高齢化しても元気で「技術・ノウハウ」に関する経験と知見を蓄積している人は多く、その意味では、まだ日本の人的資源は相対的に「良質かつ豊富」であり、その人的資源を活かすことが、今、非常に重要になっていると思う。しかも、「技術バブル」とか「ハイテクバブル」というようなもの再び招くことのないように、注意深く、その持っている「技術・ノウハウ」を吟味しながら、それらを育て生かすことが重要になっていると思う。
こうした思いを語ったところ、多くの方々の賛同が得られ、この度、「技術・ノウハウ」などに関する蓄積した経験と知見を健全な日本産業の発展のために活かすことを概念的、抽象的ではなく、その実践の場として「日本スカラベイニシアティブ」が発足することになった。
自分自身もそうだけれど、メンバーほとんどが60歳を超える。それだけに改めて、この我々の「日本スカラベイニシアティブ」という活動について、関係各位の暖かいご理解とご支援をお願いする次第である。
なお、スカラベ(scarab)とは、古代エジプトで「再生」「復活」「創造」などを象徴する「聖なる虫」として崇められた「球押しコガネ」と呼ばれる黄金虫(コガネムシ)の仲間である。「技術・ノウハウ」などに関する蓄積した経験と知見を日本産業の「再生」「復活」「創造」に活かすという主旨から、「スカラベ」という名前を採用することにした。
日本スカラベイニシアティブ 代表 前田勲男 2007年9月